2019年8月7日水曜日

殺処分という別れ

一年近くシェルターで里親を募集したのに、病気で手の施しようがなくなり、安楽死の決断をされた犬がいました。
里親が決まった犬と、

差し出したビスケットを美味しそうにいくつでもムシャムシャと食べ、耳の後ろをなでると、気持ちよさそうに目を閉じた、おっとりで愛想のない老犬。
里親募集中の犬の写真と共にお送りします Bernie

正直、私にとって「楽しい犬」ではなかったけれど、この犬を二度、散歩する機会がありました。


地味な外見のため目立つよう、蝶ネクタイをつけてプロフィール写真を撮ろうとカメラを向けると目をそらすので、グルグル回って、誰もいない空き地でワハハと声を上げて笑いました。


たった二回、40分程ずつ一緒にすごしただけの、別段思い入れのないその犬の末路を聞いた時、思いがけず悲しみが込み上げて来ました。
里親募集中 Henrietta

ドライな関係を心がけていても、連れて帰りたくなるような、気の合う犬にたびたび出会いますが、


そういうお気に入りの犬に里親が決まった時の別れと、思い入れのない犬との死別では、後者の方が断然辛かった…


ボランティアがこんな気持ちになるのは、犬たちに里親が見つかるまで何年でも世話をする、シアトルという街だからこその余裕であり、


殺処分が常時行われている地域のシェルターだったら、いちいち気に留めていられないのかもしれません。そこで働く人、命を奪わなければならない仕事に就く人は尊い…


その犬には、変わった名前がついていました。そういうひねった名前をもらう、特別な存在だった時代があったのだと思います。


ついに新しい名前をもらうことも、「お前をずっと忘れない」と泣いてくれる人にも恵まれなかった。暖かい家で、最後は家族に囲まれて逝ってほしかったけれど、
里親募集中 Noodle

毎日シェルターの人と散歩して、そんなに寂しくなかったと、せめて思ってくれていたらいいな…
Noodleはアジリティも得意

生前の写真を祭壇に飾ったり、遺灰を混ぜ込んでアクセサリーにしたり、タトゥーを入れたり、多くの飼い主が愛犬の思い出を形にします。
里親募集中 Mona Lisa

シェルターで最後の時を迎え、誰の思い出になることもないこの犬の写真を、私は今も保存しています。


あの日グルグル回りながら、笑いながら写した、小さな思い出。
疲れちゃった Mona Lisa

一緒に歩く足や、ビスケットを差し出す手があるのなら、


助けられなくてもできることはあるんだよ、と教えてくれた、優しい犬でした。

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10 件のコメント:

  1. 保護犬ピノコを迎えるまで、10年近く時間がかかりました。
    なかなか思い通りにならないものですね。

    そのワンちゃんに合掌。
    次に生まれる時は、幸せにね。

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    1. ピノコちゃんとアトムくんが仲良くしているのを、楽しみに見ています。かわいいペアになりましたね!
      全ての保護犬にピノコちゃんの幸せが訪れてほしいです。

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  2. 最近、安楽死を考える機会が続いていました。
    もしかしたら、元飼い主はシェルターに期待してサレンダーしたかもしれないと思うと、勇気をもって飼い主の判断で安楽死にすることも飼い主の責任として考えなければいけないのかなぁと考えるようになりました。

    このわんちゃんも、RIP.

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    1. 一番辛い最後に、辛いからと飼い主が逃げたら、犬はどんなに辛いでしょうね。
      数週間前にアダプトされ、車に跳ねられ、またシェルターに戻された犬がいました。シェルターで足を一本切断する手術をして、すぐにまたアダプトされました。

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  3. 全ての犬を救うことはできないとわかっていても悲しすぎる別れですね。
    温かい家庭で一生過ごすと信じてた時もあっただろうに。
    でもゆみこさん含めたボランティアさんや職員さんたちに愛されて、
    人間の愛を受けて天国に行ったと思います。
    シアトルで保護されてまだ幸せだったと思わずにはいられません。
    ワンちゃん安らかに眠ってね…。

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    1. 基本、職員はてんてこまいで辛い仕事をし、ボランティアは散歩したり可愛がるのが仕事なので、こういう不幸な結果になった時に、ボランティアの意義を感じますね。人の手で送られるまでは、犬好きな人たちにかまわれて生きましたから。シアトルでよかったなあと、私も思います😊

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  4. 辛いですね。本当に辛い別れだと思います。
    辛いですが、殺処分(安楽死)に関しては、病気の場合は仕方ないこともあると思います。
    人間の勝手で延命措置をしたりしないで、痛みや辛さから開放し
    楽にさせてあげることも時には必要なのかなと。

    どなたかがコメントでおっしゃっているように、私もその子はシアトルに連れてきて
    もらって、幸せだったんじゃないかなと思います。
    ”助けられなくてもできることはある。”その通りですよね。
    恥ずかしがらず、面倒くさがらず、自分にできることを少しでも
    しようと動いてくれる人が1人でも増えるよう願っています。

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    1. この犬は一時、フォスターもされていたんで、シェルターに戻ってきた時にまた捨てられたと思ったかも、と思うとかわいそうだったなと思います。
      しかし、みんなでできる限りの最善を尽くしたと思います。うちのシェルターに来る犬は、高い確率で老犬なので、もうため息が出ます。シアトルじゃなかったら、こういう犬から殺処分されていくんでしょうね。

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  5. 殺処分、本当に悲しいですよね。でも健康で何の問題もない子がどんどん殺されてる中で、やっぱり病気だったらしょうがないという面もあるんじゃないかと。一匹の治療費で何匹の健康な犬が救えるか・・・ということになると、何が正しいのかわかりません。でもその子はシェルター生活だったとしても、ボランティアやスタッフの方たちに愛されて、幸せだったと思いたいですね。家で飼われてても虐待はもちろん、ネグレクトでひどい状態の子もいるし、、、となんだか下と比べているようですが。近所のシェルターのFBフォローしていますが、あまりにも毎日「RED LISTED」が出てきて感覚が麻痺しそうです。

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    1. シアトルは殺処分される順番がないので、老犬、病気の犬でも、生かせられる限り、ホスピスしたり、サンクチュアリ的な老犬専門レスキューや、もっとキャパのあるシェルターに託したりするんですよ。安楽死は、こういう手の施しようのない病気の時に限ります。キットの友達ファルコアもカリフォルニアのキルシェルターにいて、軽いんだけど心雑音があるからと、まさにRed listに入れられていました。この程度の"問題"は、シアトルでは問題じゃないのに、所変われば殺されるなんて、本当に辛いです…シアトルヒューメインの腕利きさんが現在、ヘッドハンティングされ、カリフォルニアの動物福祉のため働いていると聞きました。近い将来、状況が改善されることを祈ってます!

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